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まちのひとインタビュー

インタビュー記事

Vol.1

特別取材

2022年03月11日

ふるさとのために、できることを。ゲストハウスKARAI 賀来寿彦さん

富士見駅から歩くこと30秒。垂れ下がる淡い緑色の暖簾をくぐると、何とも懐かしい木造建築の空間が広がる。ここは、昨年末にオープンしたばかりの『ゲストハウスKARAI』。宿泊だけでなく、コワーキングスペースとしても使用できる駅前ゲストハウスだ。ひとり旅からグループ、ビジネス利用まで気軽に利用できる施設となっている。

そんなステキなサービスを提供するのが、『ゲストハウスKARAI』のオーナー・賀来寿彦さんである。

現場を見たからこそ感じる変化と発想

地元・富士見町に生まれた賀来さん。父の仕事の都合により霧ヶ峰高原でスキーなどにふれあいながらの幼少期を過ごした後、再び父の仕事の都合で八ヶ岳に戻り、自然に囲まれた環境の中で育った。

平成5年に就職してからの27年、ゴルフ場、レストランのホール、宿泊施設のフロント、スキー場、リゾートホテルなど、接客業を中心に行ってきた。宿泊施設の支配人として様々な業務に携わる中で、3年ほど前から団体旅行の減少と個人旅行の増加という変化を目の当たりにした。

そんな中、イベント等で関わっていくうちに「富士見駅の近くで旅館があると良いね」という話が出始める。宿泊施設の現場を経験している賀来さんは「今のままだと面白くない。変わったことをしたい」と考え、リノベーションしたいという発想が浮かび始めた。その後、商工会からの紹介で物件を下見し、トントン拍子で話が進んでいったという。

昨年末のオープン後、GoToトラベルの停止、緊急事態宣言、新型コロナウイルス感染者の確認などの問題に直面する中で、新聞折り込みチラシや地元や近隣の方限定に宿泊体験プランをしてもらうといった対応にも奮闘している。

自分のノウハウを使った恩返し

都会への憧れもあり専門学校の2年間だけは東京で過ごしたが、「都会のビルの間や満員電車に疲れた」と再び地元へ戻り就職をした。「都会と違って干渉されない。ホッとする時間ができた」と、田舎への恋しさを賀来さんは回顧する。

自分自身が話好きということもあり、会話が生まれてコミュニケーションができる空間づくりに重きを置いている。前職の時にも、「久しぶりだね」「娘さん大きくなったね」と常連さんとの交流が深く、「人と話すことでその人にとっての気晴らしになったら」と賀来さん。お客さんと接客をしてきたからこその得意なコミュニケーション能力を発揮し、「机にいるよりかは、お客さんと話すことが仕事」と語るほどのお話好きであることが伝わる。

実際『ゲストハウスKARAI』の1Fリビングのコワーキングスペースは、他県から来た人や地元の人、外国人などの様々な人たちがコミュニケーションを取れる場所となっている。そんな自分のノウハウを使って恩返しがしたいという想いが、こうして如実に出ているのである。

ゲストハウスKARAIの3つのコンセプト

『ゲストハウスKARAI』には、3つのコンセプトがある。

まず1つ目は『親戚が来たときに泊まれる場所』。昔のように人が大勢泊まれるほどの家が減少している今、親戚がいざ来ようものなら食事や寝床、風呂の支度などをしなければならない。泊まりに行く側も迎える側もお互いに気を遣わないために、来訪した親戚が泊まれる場所として『ゲストハウスKARAI』を利用することができる。

続いて2つ目は『お見舞いに来た人が泊まれる場所』。富士見町は近隣の市町村の中で最も高齢化率が高いと言われている。病院や介護施設等も多く存在し、そこに入院する家族や友人のお見舞いに来たとき、ホテルでは高すぎるのでまずは宿泊できるところを……となったときこそ、『ゲストハウスKARAI』を利用するときである。

最後に3つ目は『観光客とビジネスマンが訪れる場所』。「遊べる場所はないか」「美味しいものが食べられる場所はないか」など、観光客やビジネスマンは当然知らないことが多い。そんな時、情報を提供したり、地元の人とのコミュニケーションを取るための場所として、『ゲストハウスKARAI』が利用できる。

充実しているからこそ、やりたいことがある

オーナーとなって忙しい日々を過ごす賀来さんだが、「全部自分でやらなければいけないけれども、やりがいはある」と語る。前職では、企画やアイディアを出しても上司から止められたり、ゴリ押しで進めても失敗したこともあった。しかし、「自分は現場が大好きなので、机に向かうより現場で忙しくするほうが充実している」と新しい人との関わりも持つ中で、嬉しい忙しさの中で日々を過ごしている。今は、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、あれもしたい、これもしたい」と頭の中が走り回っているという。

現在のゲストハウスとは違い、カプセルホテルのようなテイストのゲストハウスもやってみたいという目標もある。現在富士見駅前は古い店舗が多く、機能していない建物が大半。今後空き店舗になるところが増えていくのではという不安要素もあるようだ。

寂しいシャッター街にしないために、もっと若い人と一緒に何ができないかという考えの中で、「若い人たちにとって魅力があり、帰ってきたいところにしたい」と宿泊のプロとして、今後も富士見のために賀来さんは邁進していく。

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投稿日時:2022年03月11日 / 最終更新日時:2022年03月18日

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